つながった命のバトン2

<大相撲巡業における救命事例>

平成30年春の大相撲巡業において開催都市の市長さんが土俵上で挨拶中、突然意識を失い倒れるという緊急事態が発生しました。

この出来事はマスコミにも大きく取り上げられましたが、それは土俵上で応急手当をしている女性に対し土俵から降りるよう指示した場内のアナウンスに対しての報道でした・・・

実際、焦点を当てて欲しいのは、土俵上にあがった女性たちの迅速な応急手当です。

ガイドライン2015でも推奨されている早期の胸骨圧迫が行われており、お手本のような対応でした。youtubeなどに現場の動画が掲載されていますが、この動画を検証した時系列は以下のとおりです。(経過時間は動画の状況から推定した時間です)

 

(1)43秒後・・・土俵にあがった女性が普段通りでない呼吸を確認(推定)し、胸骨圧迫を開始、続いて土俵にあがった女性と交替しながら絶え間ない胸骨圧迫が実施される。

(2)1分06秒後・・・AEDが現場に到着

(3)1分20秒後・・・現場にいた警察官が胸骨圧迫を交替

(4)1分34秒後・・・AEDのパッドが装着される(動画の状況から推定)

(5)1分44秒後・・・AEDによる心電図解析開始(動画の状況から推定)

(6)1分50秒後・・・AEDによる解析の結果「電気ショック不要」のアナウンスがあったものと推定、呼吸や体動などの回復兆候が見られたものと推定

(7)2分03秒後・・・救急隊員により回復兆候が確認される(動画の状況から推定)

(8)2分26秒後・・・担架による搬送準備が開始される

(9)3分20秒後・・・担架により搬送開始

 

以上のように、倒れて1分以内に胸骨圧迫が開始され、1分34秒後にはAEDのパッドが装着されています。まさにガイドライン2015で推奨する早期の胸骨圧迫開始と早期除細動を実施できる体制になっており、本当にお手本のような対応と連携でしたが、なぜ、場内アナウンスばかりが取り上げられ、この素晴らしい対応にスポットを当ててくれないのかなと残念な思いですが、勇気を振り絞って土俵に上がり、素早く的確な対応をしてくれた女性たちに感謝と大きな拍手を送りたいと思います。ありがとうございました。(HIGE)

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